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定時に帰る仕事術【小学校教師編】

 こんにちは。毎日定時で帰るのが目標のでいごです。

 

 働き方改革のお陰で、定時に帰ってもよい風潮が出来つつあるのが嬉しいですが、これがなかなか定時に帰れない仕事量に困っている先生が多いと思います。

 

 私も以前は7時くらいまで学校に残ることが当たり前だったのですが、色々な先輩先生(特に主婦)の方から仕事術を聞いて回った結果、定時で帰れるようになったので、今回はその工夫についてお伝えしたいと思います。

すべては朝で決まる。

私の一日のルーティーンはこんな感じです。

7:30 学校到着

    ・宿題チェック

8:00 授業開始

昼休み  子ども達と毎日遊ぶ

15:00 子ども達下校(2年生)

     ・通知表打ち込み

     ・テスト採点

     ・校務分掌

16:30 学校出る

 

出来るだけ1つにまとめる。

 まず、朝の7:30~8:00の間で全員の宿題チェックを必ず終わらせます。宿題プリント2枚、漢字ノート、計算ドリル、音読チェック、熱チェック・学級通信の返信があります。現在は20人学級で7つのチェックがあるので、140人分をチェックしていることになります。

 そこで、学級通信・音読チェック表・熱チェック表は一つのファイルにまとめるようにしました。これで1回ファイルを開けるだけで3つのチェックが終わります。

 学級通信にはコメントを書く欄を設けるのではなく、サインする場所だけ作りました。通信へのコメントは欲しいところですが、時間捻出のためには仕方ありません。もしコメントを毎回もらうとなると、緊急なのか、そうでないのかの判断もしなければならなくなります。コメント欄が無くても、熱心に通信を読んでくれる親御さんはコメントをしてくれます。コメント欄を設けない事で、親の熱量も分かります。 

宿題プリントのチェック方法

 宿題プリントについては、低学年なので親が家で丸付けをするようにお願いしています。持ってきたプリントは一人一人の名前が書かれてある「宿題回収マシーン」に挟ませます。

 

「宿題回収マシーンの写真」

 

 宿題を誰が出していないのかはチェック係が名簿に記録をします。このマシンがあれば、誰が出していないか一発で分かりますので、まだ出していない子の名前を呼んで、「家に忘れた」のか「持ってきているけど出せていない」のか確認します。家の人が忙しくて丸付け出来ていない子は、友達のプリントを見て丸付けさせて朝のうちに出させます。間に合わない場合は、朝の会中にやらせて1時間目以降に残さないようにします。

 もし家に宿題忘れた場合は、予備のプリントを朝の会中にやって出します。(余分に印刷しておきます。)忘れ物があった場合は、すぐに学級通信の音読カードの「忘れ物記録欄」に書かせ、親もチェックできるようにしておきます。音読は毎日親がサインをすることになっているので忘れ物をしたか親も分かります。すると翌日にはほぼ持ってこれるようになるので生徒指導の手間も省けます。

 プリントの中身のチャックは一気に行います。ササッと書けるOKサインを作っておいて、プリントを高速でチェックしながら間違って丸付けがされていないか確認します。また、多くの児童が間違えている問題は、授業中に復習したりもします。

 

漢字ノートのチェック方法

 漢字ノートは、毎回丁寧に書けているかの評価をします。これが親には好評でした。この評価があることによって「もっと丁寧に書こうとするようになりました」という声をいただきました。

 評価規準は

 C(汚いのでやり直し)

 B(ふつう)

 A(丁寧)

 です。Aが続いた児童にはAA、AAAと言う風に増やしていきます。だいたい2週間くらいでAを増やしていってあげます。すると、子どもたちの間で「今日はAが2個だった!」と自慢大会が始まります。悔しい子はまた丁寧に書いてきます。

 2学期中盤くらいになると、AAAAAなどになってくるので、5Aが続いた子はSに切り替えます。もちろん、雑に書いてくると容赦なくBに落とします。これがあると「ちゃんと先生は見てくれている」と感じますし、いきなり雑に書いてくると心が不安定になっているのかもしれないというサインにもなります。

 また、SSSSなど書いていると時間がかかるので、3Sとか5Sとかに表記を変えて時短していきます。

 

子どもにまかせる。

 朝のこの30分で140人分のチェックを終わらせるには、子どもの協力が無ければできません。チェック中に喧嘩などのトラブルが始まれば、チェックが中断し、昼休みにチェックを行うことになります。すると昼休みに一緒にいない分、トラブルが起こりやすくなる⇒放課後親に電話⇒ケガさせた親にも電話⇒つながらない⇒電話折り返し・・など超絶無駄な時間が発生します。

 朝の時間の使い方が定時に帰られるかそうでないかを決めているのです。そのため、子どもたちには朝のルーティーンをプリントアウトして黒板に貼ったりして、指示が無くても自分たちで動けるようにさせます。子どもによって登校してくる時間帯はバラバラですので、がやがやなりやすいですが、宿題を出して、花の水やりなどを終えたら無言で読書をさせます。こうすることで、遅れてきた子は静かな教室に入るわけですから、心理的に騒ぎ辛くなります。

 チャック係は4人くらいにして、出していない子だけ名簿に×を付けさせます。ポイントが「宿題未提出者のみチェック」するということです。宿題を出す子が大半なので、その子の名簿の枠に〇をする時間は無駄です。この方法であれば、私が後から通知表を付ける際に「誰が忘れ物が多いか」一発で分かりますし、チェック係の時短になります。

 そして、まだ宿題を出していない子への声掛けもチェック係にさせます。その間に私は高速で140人分のチェックを作業を行うことができます。もちろん、声掛けを子どもにまかせている分、声掛けの言葉の指導もあらかじめしておきます。「宿題出せそう?」と聞かせるようにします。指導をしておかないと「なんで宿題出していないの」と正義感をかざしながら言ったりして不快な思いを与えることになるよと伝えておきます。

忘れ物を減らすには忘れ物を話題にしないこと。

 と言っても、何日も連続して忘れ物をしてくる子はいます。こういう子は親の指導が行き届いていない場合がほとんどです。それは親が夜勤であったり、教育に掛かり合わない親だったりするので子どもは悪くありません。

 そういう子の親には電話をしたりして「親」の行動を変えてもらうようにお願いします。忘れ物は親が気を付ければほとんど無くなります。忘れ物をしないことが当たり前になれば、うっかり忘れ物をした時に子どもはとても恥ずかしい思いをします。それが効果となって自分でチェックするようになります。

 逆に、親がチェックせず、子どもが常に忘れ物をしている場合、はじめは子どもは恥ずかしいと思うでしょうが、次第に慣れていきます。忘れ物をすることが当たり前になると、いくら子どもを叱っても改善しません。

 ですので忘れ物については、子どもにがみがみ叱っても、ほとんど効果はありません。忘れ物個数のランキングなども良くないです。忘れ物をしない子は親のサポートを受けている場合が多いので、忘れ物をしなかったことで褒められてもその子自身はうれしくありません。

 逆に忘れ物が多い子が「どうせ俺はランキングに入らないから、忘れ物気を付けなくていいや」と思い始めることになります。大事なのは「忘れ物」をクラスの話題にしないことです。忘れ物しないのは「当たり前」という空気を作り出すことが、忘れ物を減らす最も有効な手立てです。

 ですので忘れ物をした場合には、気付いた時点ですぐに言いに来るように指導します。言いに来た児童については叱りません。しかし、忘れ物を言いに来なかった児童がいれば叱ります。大事なのはミスをした後どういう対策をとったかです。ミスを隠す事をするようになると、カンニングしたり、悪さを隠すようになっていきます。ですので正直者を褒め、隠した者を叱りましょう。小学生の場合、忘れ物は子どもに責任は無いので、忘れ物をしたことは問題にしません。それを正直に言わなかった場合だけ叱りましょう。

休み時間は休み時間ではない

 朝で宿題チェック、忘れ物の確認が済めば、しっかり授業をして昼休みです。休み時間については、一番トラブルの多い時間ですのでここのマネジメントがとても大切です。

 まず、次の授業の準備をさせます。ノートを開いて、めあての枠を書かせておきます。(ここで2~3分かかる)

 

 それが出来た人から、トイレ、水のみです。それが無い人は基本的に自分の机で過ごさせます。読書をしたり(本を読むのが好きにさせることが大切)、自習プリントをしたりします。自習プリントはひらがなかたかななどの書写プリント、計算プリントなどを大量印刷しておいて、やった枚数に応じてシールをあげます。そうするとどんどんやるようになりますし、休み時間も机で過ごすようになります。絵が好きな子は絵を描いてもいいと伝えていますが、低学年はシールを欲しがるので休み時間も自習プリントをする子が多いです。

 クラスの大半の児童が机にいてくれれば、私が声をかけておきたい児童や、個別で問題を教えておきたい児童だけ私の机に読んで指導が出来ます。結果的に、平均を下回る子へのサポートも手厚くなりますし、親もそれが分かり、満足度も上がるのでクレーム等も無くなります。このことは包み隠さず、児童に伝えています。

 みんなの協力のお陰で勉強が分からない子が分かるようになって学校が楽しくなるし、親御さんも喜んで笑顔になるんだよと。そうすることで先生も毎日楽しくみんなと接することが出来ているから感謝しているよと伝えるのです。

 ですので、休み時間と言えども、休み時間ではありません。次の授業のための準備時間と呼ぶようにし、子ども達もそういう認識で過ごさせます。その分、昼休みはとことん遊ぶようにするのです。

昼休みに遊ばないと色々なトラブルが起こり始める

 朝にチェックも終え、休み時間で平均を下回る子への個別サポートも終われば、昼休みにする仕事はありません。ここで校務分掌をやればはやく帰れそうですが、そうではありません。なぜなら、昼休みに児童間でトラブルが起こると、その対応に放課後の貴重な仕事時間がつぶれるからです。放課後の時間は児童もいないので仕事を一気に片付けることのできる唯一の貴重な「集中タイム」です。そこで親への電話などが入ると、ほぼ仕事は進みません。最悪の場合、親が家に帰ってくる5時以降に家庭訪問しなければいけないという事態になります。こうなると仕事も終わらない上、精神的なストレスを増大し、詰みます。

 ですので、昼休みは「トラブルを絶対に起きない状態を作る」ことを最優先させます。そのため、昼休みには全員外に出します。教室に児童が残っているとそこでトラブルが起きます。

 子どもは先生と遊ぶのが大好きです。運動場に全員がいれば、もし怪我をしてもすぐに対処できますし、喧嘩が起きても目が届きますから初期の段階で仲直りさせることができます。もし、先生が喧嘩の現場を見てない場合、まず5時間目などに「聞き取り」の時間から始めなければなりません。放課後に聞き取りをするとなると下校時間を過ぎますので、親に連絡を入れなければなりませんし、少年団の時間も迫ってきて子どもは「嘘ついてでもはやく終わらせる」ことを学んでしまいます。

 ですので、喧嘩はその場ですぐに原因と今後の改善点を児童に理解させ、すぐに仲直りをさせることで、大きなトラブルにならずに済みます。そのため、昼休みは先生の目が届くところに全員がいるようにします。

 先生が毎日外で遊んでくれることは子どもがとても喜びます。勉強が苦手な子にしてみれば、授業は苦痛なはずです。しかし毎日昼休みが楽しいのであれば、学校に来てくれます。そうなれば不登校も無くなります。不登校児童の対応ほど、時間と労力がものすごくかかるわりには改善が難しい問題はありません。

 以前、不登校児童を抱えていた時にはその子の対応で昼休みが潰れ、その間に他の児童がトラブルを起こし、放課後も潰れ、校務分掌の為に土日が削られるという最悪のスパイラルに陥りました。そうなると地獄です。そうやって精神疾患にかかっていくのです。

 昼休みに子どもたちと過ごすことで、子どもたちの性格も分かりますし、子どもたちの思いやりが見れたりします。それは子どもを褒める材料になりますし、親とのコミュニケーションのネタにもなります。そうすれば親の満足度も上がります。なおかつ、毎日先生も子どもたちと運動することになりますので、リフレッシュにもなります。運動すれば、自然と笑みも増え、子どもたちも授業中には見れない先生の顔も見る事が出来るので、より心が通じやすくなります。

 昼休みに遊んでくれる先生を子どもは大好きなので、そんな先生から叱られたら、嫌われたくないからちゃんとしなきゃなと思うのが人間です。子どもと遊ぶことで、子どもも先生のために頑張るようになる。子どもと大人ですが、要するに人と人との関係ですよね。良くしてもらった人には悪いことはしたくないと思うは子どもでも一緒です。

放課後の集中タイム

 昼休みにしっかり運動してリフレッシュしていますから、5時間目を終えて子どもたちを返したら、あとは終業時刻まで集中して校務分掌などに取り組みます。さらに、私は、この時間に通知表に取り掛かります。

 学期終わりだけでなく、学期初めから取り掛かります。その日にあった授業を思い出し、児童の発言やその日のノートをチェックして、少しずつ記録しておきます。(所要時間は10分くらいです。)こうすることで、学期末にはすでに通知表に書く所見は終わっています。成績についても、テストをしたら、その日にすぐに記録に打ち込んでおきます。体育など、児童を観察する時間が長い時には、授業中に成績をつけ終えておきます。こうすることで、より正確な評価ができます。複数の場所で児童が活動している場合にはタブレットなどを用いて動画を撮影しておき、それを見ながら評価をします。

 このようなルーティーンで放課後の「集中タイム」を有効に使います。必要であれば、この時間帯で親に電話をかけたりできます。しかし、この1日の流れが定着すると朝からトラブルもほとんど起こらないので、「親からの電話」はほとんどありません。あるとすれば、「明日病院に行くので休みます」などくらいで事務の先生からの伝言で済むものくらいになります。ですので、就業時間内に一気に仕事が片付きます。

授業の準備は土曜の朝にやる

 では授業の準備はいつやるのかというと「土曜の朝」です。私は学校で授業準備をほとんどしません。なぜなら、他の先生が話しかけてきたりして教材研究が途切れてしまうからです。他の先生と話すことは円滑な業務の為にとても大切な時間ですが、「どのくらいで終わるのか」の見当がつきません。話し込んで気付いたら1時間経っているなんてこともよくあります。

 ですので、じっくり深く教材を研究する作業については学校では無理だと割り切って、土曜の午前中に終わらせることにしています。土曜の午前中は、友達は大抵金曜日に飲んで酔いつぶれていたりして、起きていないことも多く、連絡が来ることはまずありません。だからこそ、この時間に翌週の教材研究を一気に終わらせておくと、土曜の午後から日曜の午後、1日半を丸々好きなことに充てる事が出来ます。授業のことを考えずに土曜の午後から過ごせるので、プライベートも充実します。

 授業準備が終わった状態で、翌週の授業が始まれば、授業前に焦ることもありませんし、授業前の休み時間は子どもの個別指導に心おくなく時間を割くことが出来ます。また、突発的なトラブルにも対処しやすくなります。

長期休みが鍵

 特に夏休み、冬休みなど長期休みの日の午前中は次の学期の授業準備に充てておくと、1か月分くらいの予習がすでに終わった状態で新学期を迎える事が出来ます。すると放課後の時間などが空きますので、教室の掲示物に力を入れることが出来たり、児童の作品整理などにも取り組めて、教室が華やかになります。

 こうすることで、保護者がいつ来ても楽しんでもらえる教室が出来上がるので参観日前に慌てることもありません。私の場合は、夏休みを楽しみつつ、コツコツ授業準備をしていたので、9、10月の授業準備はすでに終えて2学期を迎えられ、運動会の準備に専念できました。

 こうすることで、クオリティーの高いダンス、衣装が出来上がり、親も子供も大満足の運動会が完成しました。準備ってとても大切です。準備が進んでいたこともあり、夏休み明けの9月は毎日定時上がりが出来て、夕方に好きな運動をすることが出来て心身ともに健康的な生活を送ることができました。その時間帯に、普段会えない人とも会えたりして社交的な面でもプラスになりました。

 

 長くなりましたが、以上が私の時短術です。教師の仕事量は就業時間内に終わる量ではないですが、子どもの協力、親の協力、それを生み出すための工夫を行っていけば、効率よく質を担保しながら仕事を片付けることも可能だと思います。

 

 私はこの1年間は、このスパイラルで出来ていたこともあり、不登校、いじめ、大きなトラブル、親からのクレームもありませんでした。プライベートの時間も確保できているのでこうやって発信することも出来て、改めて自分の仕事を振り返ることも出来ています。

 

 教師には突発的なコントロールできないトラブルが降りかかります。そうなることを前提にして、コントロールできる部分は事前に終えておくことで、時間的にも精神的にもトラブルを受け入れる「余裕」を空けておくことが大切です。それが結局、最小時間で最大限の対応が出来る要因になります。

 

 裁量が大きい仕事だからこそ、自分の工夫次第でどうにでもなるのが小学校教師の仕事です。知恵を使って、人生を支配しましょう。